「部下に教えているのに、なぜか成長しない」 「丁寧に説明しているつもりなのに、同じミスが繰り返される」 「自分で考えて動く部下を育てたいのに、指示待ちのままだ」
この悩みを持つ管理職の多くが、場面に関係なくティーチングだけをやっています。
コーチングとティーチング。この2つの違いを理解して使い分けるだけで、部下の成長速度が変わります。この記事では、現場で使える具体的な使い分け方をお伝えします。
【この記事でわかること】
・コーチングとティーチングの本質的な違い
・どちらを使うべき場面の判断基準
・現場で使えるコーチング・ティーチングの具体的な進め方
ティーチングだけでは「考えない部下」が育つ
ティーチングとは、知識やスキルを「教える」ことです。
「これはこうやってやるんだよ」「正解はこれだ」「こういう時はこうすればいい」
管理職が答えを持っていて、それを部下に伝える。これがティーチングです。
ティーチングは必要です。特に新人や経験が少ない部下に対しては、正しいやり方を教えることが最も効率的な育成方法になります。
でも、ティーチングだけをやり続けると問題が起きます。
部下が「考えること」をやめます。答えは上司が持っている。聞けば教えてくれる。自分で考える必要がない。こういう状態が続くと、指示待ちの部下が出来上がります。
コーチングは「答えを引き出す」技術
コーチングとは、部下の中にある答えを引き出すことです。
「あなたはどう思う?」「なぜそう感じた?」「どうすればうまくいくと思う?」
管理職は答えを持っていても、すぐには教えない。質問を通じて、部下自身が考えて答えを出すプロセスを作る。これがコーチングです。
コーチングの本質は「答えを与えない」ことではありません。「部下が自分で考える力を育てる」ことです。
自分で考えて出した答えは、腹落ちします。「言われてやること」より「自分で決めたこと」の方が、行動につながります。
ティーチングが必要な場面、コーチングが必要な場面
この2つは、どちらが優れているというものではありません。場面によって使い分けることが大事です。
ティーチングが有効な場面
① 知識・スキルがゼロの時 やったことがない仕事、初めて直面するケース。この段階でコーチングをしても、部下には考える材料がありません。まず正しいやり方を教えることが先決です。
② 緊急の対応が必要な時 クレームが入った、締め切りが迫っている。こういう場面で「どうすればいいと思う?」と聞いている余裕はありません。「今すぐこうして」と明確に指示することが正しい対応です。
③ 明確な正解がある時 法律・規則・社内ルールなど、正解が一つに決まっていること。ここに「どう思う?」は必要ありません。
コーチングが有効な場面
① ある程度の経験がある時 仕事の基礎ができている部下に対しては、答えを教えるより考えさせる方が成長につながります。
② 自主性・主体性を育てたい時 「自分で考えて動く部下」を育てたいなら、コーチングが必須です。考える習慣は、考えさせることでしか育ちません。
③ モチベーション・キャリアの話をする時 「どう感じているか」「どうなりたいか」という内面の話は、部下自身が答えを持っています。管理職が答えを出せる話ではありません。
現場で使えるコーチングの具体的な進め方
コーチングと聞くと難しく感じますが、基本は「質問する」だけです。
使える質問パターン
現状を把握する 「今、この仕事をどう感じていますか?」 「今一番難しいと感じているのはどこですか?」
原因を考えさせる 「なぜそうなっていると思いますか?」 「何が変わればうまくいくと思いますか?」
解決策を引き出す 「どうすればいいと思いますか?」 「もし自由に変えられるとしたら、まず何を変えますか?」
行動につなげる 「では、来週までに一つだけやってみるとしたら何にしますか?」
コーチングで最も大事なこと:「待つ」
コーチングで管理職が最も苦手とするのは、「待つこと」です。
「どうすればいいと思う?」と聞いた後、部下がすぐに答えられないと、管理職が答えを言ってしまいます。これではコーチングになりません。
沈黙が10秒、20秒続いても待つ。「ゆっくり考えていいよ」と声をかけながら待つ。この「待つ力」が、コーチングの質を決めます。
ティーチングとコーチングを組み合わせる
現場では、この2つを組み合わせることが最も効果的です。
例:新しい業務を任せる場面
まずティーチング:「この仕事の全体像と、基本的なやり方はこうです」 次にコーチング:「実際にやってみて、どこで詰まりそうだと思う?」「うまくいかなかった時、どう対処しようと思っている?」
基礎を教えた後に考えさせる。このセットが、最も効率的な育成につながります。
まとめ
コーチングとティーチングの違いは、「答えを与えるか、引き出すか」です。
経験がない場面ではティーチング。経験がある場面ではコーチング。この使い分けを意識するだけで、部下の成長速度が変わります。
まず次に部下から「どうすればいいですか?」と聞かれた時、「あなたはどう思う?」と返してみてください。それだけでコーチングは始まります。
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