「先週何を話したか、あまり覚えていない」 「毎回同じような話で終わっている気がする」 「部下が話してくれたことを活かせていない」
1on1をやっているのに、なぜか手応えがない。部下との関係が深まっている気がしない。そう感じている管理職の多くが、共通して「メモを取っていない」か「取っていても活用できていない」状態にあります。
結論から言います。1on1の効果を上げる一番シンプルな方法は、メモを取って次回に引き継ぐことです。
難しいフォーマットも、高価なツールも必要ありません。この記事では、現場でそのまま使えるメモの取り方と、次回への引き継ぎ方を具体的にお伝えします。
この記事でわかること
- 1on1でメモを取らないと何が起きるか(3つの問題)
- 現場で続けられるシンプルなメモの取り方
- 次回の冒頭30秒で使える引き継ぎの言葉
- メモを取り始めた管理職に起きる3つの変化
なぜ1on1の効果が上がらないのか
1on1の効果を上げる方法を探している管理職の多くが、実は**「やり方」より前の段階**でつまずいています。
どんな質問をするか、どうやって部下の本音を引き出すか。そういったテクニックを学ぶ前に、まず土台が必要です。その土台が「メモと引き継ぎ」です。
メモがないと、毎回の1on1がリセットされます。ゼロから関係を積み上げようとするため、どれだけ丁寧にやっても深まっていきません。
メモを取らないと起きる3つの問題
① 部下が「覚えてもらえていない」と感じる
前回話したことを上司が覚えていない。これは部下にとって、「自分の話は大切じゃなかった」というメッセージになります。
一度や二度ならまだいい。でも毎回続くと、部下は少しずつ「どうせ話しても覚えてもらえない」と感じ始めます。結果、当たり障りのない話しかしなくなります。1on1が形骸化する大きな原因の一つです。
② 毎回同じ話になる
前回何を話したか覚えていなければ、毎回ゼロから始まるしかありません。同じ悩みを繰り返し話すだけで、何も前に進まない。部下も「また同じ話か」と感じるようになります。
1on1は積み重ねてこそ意味があります。その積み重ねを可能にするのがメモです。
③ 部下の変化に気づけない
3ヶ月前と今で、部下の発言はどう変わっているか。成長しているのか、悩みが深くなっているのか。記録がないと変化が見えません。
変化に気づけない管理職は、部下が限界に近づいていても気づけないリスクがあります。1on1の記録は、離職の兆候を早期に察知するためのセーフティネットにもなります。
1on1のメモ、何を書けばいいか
難しく考える必要はありません。書くべきことは3つだけです。
① 部下が話してくれた内容(事実)
評価や判断は入れず、話してくれた内容をそのまま書く。
- 「今の仕事で一番しんどいのは〇〇と言っていた」
- 「△△の案件が気になっていると話していた」
- 「最近、プライベートで〇〇があったと話していた」
「なぜそう感じているのか」まで書けると理想ですが、最初は事実だけで十分です。
② 決めたこと・やってみること
1on1の終わりには、必ず1つ「決めたこと」を確認します。それをそのまま書いておく。
- 「来週までに〇〇をやってみる」
- 「△△について、一度自分で調べてみる」
- 「上司に〇〇を相談してみる」
アクションがあることで、1on1が「話して終わり」ではなく「動いて変わる」場になります。
③ 次回確認すること
これが一番重要です。次回の冒頭で引き継ぐために書いておきます。
- 「来週、〇〇の進捗を確認する」
- 「△△の件、どうなったか聞く」
- 「先週話していた〇〇、気持ちの変化があったか確認する」
この3つを書いておくだけで、次回の1on1がまったく変わります。
シンプルなメモの取り方|続けるコツ
ツールはスマホのメモアプリで十分
ノーションや専用アプリを使う必要はありません。スマホの標準メモアプリで十分です。大事なのは「続けること」であり、ツールの機能ではありません。
部下の名前でフォルダ(またはメモのタイトル)を作って、日付と一緒に3つの項目を書くだけです。
フォーマット例
【2026/6/3 田中さん】
・話してくれた内容:今の仕事で一番しんどいのは〇〇。△△が気になっている。
・決めたこと:来週までに〇〇をやってみる
・次回確認:〇〇の進捗、△△の件どうなったか
これだけです。長く書く必要はありません。
続けるための一番のコツ
1on1が終わった直後、その場で書く。
「後で書こう」は機能しません。時間が経つと内容を忘れ、書くのが面倒になり、やがて習慣が消えます。
1on1の終わりに「じゃあ今日決めたことを確認しておきますね」と言いながら、その場でメモを開く。2〜3分で書ける量にしておくことが、続けるための最大のコツです。
次回への引き継ぎ方|冒頭30秒でやること
次の1on1の最初の30秒で、こう言ってください。
「先週、〇〇が気になるって言ってたけど、その後どうだった?」
「先週、△△をやってみるって決めたけど、どうだった?」
たったこれだけです。
でも、この一言の効果は絶大です。「ちゃんと覚えてくれていた」という体験が積み重なることで、部下は安心して本音を話してくれるようになります。
逆に言えば、この引き継ぎがないと、どれだけ1on1を重ねても「毎回ゼロスタートの雑談」で終わります。
メモを取り始めた管理職に起きる3つの変化
実際にメモと引き継ぎを習慣にした管理職には、こういった変化が起きます。
① 部下が話してくれる量が増える
「覚えてくれている」「ちゃんと聞いてもらえている」という体験が積み重なると、部下は安心して話してくれるようになります。最初は当たり障りのない話しかしなかった部下が、3〜4回後には本音を話してくれるようになることもあります。
② 部下の成長が見えるようになる
3ヶ月分のメモを読み返すと、部下がどう変化したかがわかります。「あの時はこんなことで悩んでいたのか」「今はこんなことを考えられるようになったんだな」という発見が、育成の質を上げます。
評価面談の時にも、メモがあれば具体的な根拠を持って話せます。
③ 1on1の準備が楽になる
「今日何を話そう」と毎回ゼロから考える必要がなくなります。前回のメモを見るだけで、話すべきことが自然に決まります。1on1の準備に時間がかからなくなるのも、大きなメリットです。
よくある疑問
Q. 部下の前でメモを取るのは失礼じゃないか?
むしろ逆です。「ちゃんとメモしておきます」と一言添えてメモを取ることで、部下は「ちゃんと聞いてもらえている」と感じます。ただし、スマホを使う場合は「メモを取ります」と事前に伝えておくと誤解がありません。
Q. メモを取る時間がない
1on1が終わった直後に2〜3分取るだけです。この2〜3分を省いたことで、1on1全体の効果が下がるとしたら、コスパは最悪です。「終わったらすぐ書く」を一つのルールにしてしまうのが現実的です。
Q. 部下ごとにメモの量が違っていいか
問題ありません。よく話してくれる部下のメモが多くなるのは自然なことです。むしろ、メモが少ない部下がいれば「この部下は何も話してくれていないんだな」という気づきになります。
まとめ
1on1の効果を上げる方法は、難しいテクニックより先にやることがあります。
メモを取って、次回に引き継ぐ。
話してくれた内容・決めたこと・次回確認することの3つを書くだけ。スマホのメモアプリで十分。終わった直後に2〜3分で書く。
まず今日の1on1から、終わった直後に3行だけ書いてみてください。次回の冒頭で「先週〇〇って言ってたけど、どうだった?」と一言引き継ぐ。それだけで変わります。
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